ミルドラースの影が薄い?6つの理由

ドラゴンクエストシリーズにおいて、最も影の薄いラスボスといえば「ドラゴンクエストV 天空の花嫁」(以下、ドラクエ5)に登場するミルドラースが挙げられます。

結婚イベントや過酷な主人公の生い立ちと重なって、シリーズ屈指の人気を誇る本作だけに、ラスボスがだれ?となるのはおかしなものです。

 
ビィビ
いまだに語られる名作だもんね…

それもそのはずで、中ボスといえる存在の大きさや裏ボスの凄まじさなど、なにかと割を食ってしまっている印象をうけます。

そこで、ミルドラースの影が薄い理由を解説していきましょう。

こっちがラスボス?ゲマの印象が強すぎる

(引用元:https://www.youtube.com/watch?v=JNak9u6FvHA)

本作で印象に残っているボスを挙げるとしたら、まず「ゲマ」の存在が一番ではないでしょうか。

恐らくゲームをプレイした人ならだれしもが印象に残っているはずです。

ゲマの初登場は少年時代のラインハット北部にある古代の遺跡で、出口に向かう主人公を待ち受けています。

最初のゲマとの戦いはベビーパンサーと一緒に戦うも、基本的に負けイベントとなっています。

そして父・パパスが助けに入りますが、冒険の序盤でパパスと一緒に行動していたとき、あの強さと優しさに頼りがいを抱いたのは筆者だけではないでしょう。

パパスはその強さのまま、ゲマ一味であるゴンズとジャミという中ボスを一人でいなすほど。

頑張れパパス!と声援を送ってしまうほどカッコいい親父なのですが、あろうことかゲマは死神のカマを主人公の喉に当ててパパスを脅してしまいます。

そして、パパスはジッと耐えながら力尽き、ゲマの炎に焼かれて死んでしまいます。

 
クロ
衝撃的なシーンだよね

その後、主人公は長い奴隷生活を強いられるようになりました。

こんな卑劣な悪役なんてそりゃ印象に残りやすいものですね。

さらに、ボブルの塔における2度目の対決。

ストーリーも終盤を迎えるころ、ドラゴンオーブを手にするのに必要な「りゅうのみぎめ」の前に立つゲマとのリベンジ戦に燃えるプレイヤーも多かったものでしょう。

そういえば、天空城を浮上させるのに必要なゴールドオーブの回想シーンにもゲマが登場したものです。

ここで少年時代にゴールドオーブを割っているのを思い出しますが、何かと邪魔しまくるので嫌な奴だとみんなが思ったことでしょうね。

それだけにゲマのインパクトはミルドラースよりも強いといえました。

「さいごのかぎ」や初見殺しでインパクト絶大なブオーンの存在

(引用元:https://www.youtube.com/watch?v=JNak9u6FvHA)

次は青年時代後半にサラボナの町に襲い掛かるブオーンの存在です。

ブオーンはゲマと並んで中ボスの立ち位置ですが、ミルドラースの部下ではなく単体で挑んでくる巨大な強敵です。

青年時代後半になるとサラボナの町の横にある見はらしの塔で戦えますが、封印されていただけにゆっくり近づく登場の仕方がインパクト大であり、リメイク版では恐怖のシーンといえるほどです。

フオーンは初見殺しで有名なボスキャラでもあり、高い攻撃力を誇るのでレベルが低いと回復が追い付かずにあっという間に全滅してしまいます。

特にスーファミ版は3人パーティーですので、何の違和感もなくサラボナの町から編成せずに赴くと、男の子と女の子が前線にいるので2人のレベルが低いと戦術も難しくなってしまいます。

ブオーンは登場の仕方やレベルの低い段階で戦うと全滅しやすいので印象に残りやすく、特に撃破後に手に入る「さいごのかぎ」のおかげでより一層印象に残りやすいといえるでしょう。

ちなみにブオーンと戦うのがサラボナでは、結婚イベントや天空の盾が手に入る地でもあるので、ブオーンとの対決はミルドラース戦よりも記憶に残りやすいものでした。

主人公の人間ドラマがメインすぎて、ボスの名前が突然でてきた感じがする

(引用元:https://www.jp.square-enix.com/dqsp/dq5/)

ドラクエ5といえば、主人公を中心とした人間ドラマがメインのストーリー構成です。

幼少期に父を殺されて10年間奴隷となり、青年時代前半には結婚して子どもが生まれるというビックリな展開。

そして、ジャミによって石化してしまいオークションにかけられて8年の日々が流れるという始末で、しかも、妻は10年間も石化状態…。

自分の息子は勇者であり、天空のつるぎも装備できるからさらに驚いたものでした。

母とは魔界で再会できるのですが、ほんのわずかなひと時で雷(恐らくミルドラースの仕業)に打たれて死んでしまいます。

この親子三代に渡る人間ドラマによって主人公に感情移入してしまう人が多く、ラスボスってだれだっけ?という展開に陥りやすくなるものでした。

ミルドラースという言葉が出てくるのも光の国の教祖イブールを撃破してからです。

イブールを倒せばいのちのリングが手に入り、これで母がいる魔界へと行くことができます。

魔界は最終決戦の地であり、この段階でやっとミルドラースというボスがいることが分かります。

何か突然出てきた感じの名前になるので、それほど印象に残らなくても仕方ないかもしれませんね。

ラスボスの名前をだれも出さないなんて、情報漏洩には完ぺきな魔王軍ですが、実は忠誠心がなさそうで、なんとなくミルドラースも哀れに感じてきました。

冒険の目的がラスボスを倒すのではなく、母を探す旅だった

(引用元:https://www.jp.square-enix.com/dqsp/dq5/)

ドラクエ5では、主人公の目的が地上に溢れる魔物を倒すことや魔王の討伐ではありません。

実は母・マーサを探す旅なのであり、主人公からするとハッキリ言ってミルドラースなんて興味がなくても仕方ないこと。

まあ、魔界と人間界の門を開かせるためにミルドラースはマーサを誘拐するので、必然的にマーサを救出することはミルドラースと戦うことにつながってしまいます。

プレイヤーにとってゲマは「お父さんの仇!」という心情は理解できるものの、直接見ていないミルドラースにお母さんの仇!とするのは、そこまで感情移入できないところだったのでしょう。

しかも、結局ミルドラースって、どうしてマーサを誘拐したの?と疑問に思っているプレイヤーの方が多かったかもしれず、あまり覚えていないので何をやっているのかよく分からない…という印象を持たれてしまったのかもしれません。

最強クラスの裏ボス「エスターク」がラスボスと勘違い?

(引用元:https://www.jp.square-enix.com/dqsp/dq5/)

さて、スーファミ版のドラクエ5から、裏ボスが登場します。

前作「ドラゴンクエストⅣ 導かれしものたち」(以下、ドラクエ4)にもボスキャラとして登場したエスタークです。

攻撃力やブレスが強烈で、まさに地獄の帝王といわれるほどの強さを見せつけてくれました。

しかも、エスタークを倒すと費やしたターン数を教えてくれるので、最速ターンを目指して何回もトライしたものでした。

このエスタークの印象が強すぎたので、どうしてもミルドラースの影が薄くなってしまい、「ドラクエ5のラスボスってエスタークなんじゃ…」と勘違いしてしまった人も少なくないでしょう。

エスタークはシリーズでも最強クラスの裏ボスであり、ドラクエ4にも地上における最後のボスとして登場するのでミルドラースよりも知名度が高いのは仕方ありませんね。

リメイク版では許せないゲマの印象に隠れがち

(引用元:https://www.youtube.com/watch?v=JNak9u6FvHA)

ドラクエ5はスーファミ版が1992年に発売されており、リメイクされたPS2版が2004年、DS版が2008年、スマホ版が2014年と登場し、すべてで大ヒットしています。

オリジナルをプレイしてから久しぶりにリメイク版を経て、新たな感動を覚えたプレイヤーも多くいるでしょう。

このリメイク版によって、さらにミルドラースの印象が陰に隠れてしまいます。

それはゲマの登場シーンが増えたことにあるからです。

幼少期はほとんど同じシーンになりますが、グラフィックが向上したことにより、より残虐性に磨きがかかってしまいます。

これでまずパパスを殺したゲマって許せないとなる人が増えたものです。

そして、青年時代前半でジャミを撃破したのち、主人公と花嫁を石化するのがゲマの仕業になりました。

ここで2回目のゲマって許せないとなります。

青年時代後半に入ると、天空城を浮上させるのに必要なゴールドオーブのイベントによる回想シーンで、ふたたび少年時代のゲマの所業を見ることになるので、ここで3回目のゲマって許せないとなります。

さらに、青年時代後半におけるイブール撃破のあとに登場し、上司だったはずのイブールを瞬殺してしまいます。

しかも、「役立たず」と罵るほどで、本当に性格が悪い奴だとイメージを植え付けられます。

リメイク版のゲマはボブルの塔で倒しても死にません。

不死身か?って言いたくなるほどですが、最後はラストダンジョンでマーサと感動の再会というシーンに割って入ります。

先述したように、スーファミ版では雷に打たれて死んでしまったマーサですが、リメイク版では炎に変わり、ゲマがゆっくり降臨してきます。

父と母を目前で殺されてしまい、ここでボルテージも最高潮に上がってゲマとの死闘に入ったものでした。

実際に3度の対決を経て、リメイク版におけるゲマの印象が強すぎたことにより、この後に控えるミルドラース戦を覚えていない人が多くても不思議ではありません。

しかも、リメイク版のミルドラースは自分の部下たちが行ったことは「必要のないくだらない努力」と言い張ってしまいます。

え~それなら父と母が殺される必要なんてなかったんじゃ……部下を評価しないなんてどうしようもない魔王であり、余計にイメージが悪くなってしまったかもしれませんね。

まとめ

(引用元:https://www.youtube.com/watch?v=JNak9u6FvHA)

ラスボスなのにミルドラースの影が薄い理由を紹介してきました。

シリーズ最高傑作ともいわれるほど人気の高いドラクエ5でしたが、やはり人間ドラマがメインであり、ゲマやブオーン、エスタークといったボスキャラにインパクトの面で負けてしまったようです。

ただ、戦闘シーンは強いので、もう少し早い段階で名前を出していれば、プレイヤーの印象に残ったのかもしれません。

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